山うどを手に入れた。にがくてクセのある、春のおいしさ。
皮は厚めにむいて、アク抜きするため水に放す。残った部分は、厚めの千切りにして酢水に放ち、水菜と一緒にサラダに。皮は、普通の千切りにして、きんぴらに仕上げた。さらに頭の部分は、炊き込みご飯や天ぷらに使える。つまり、残す部分がなく、すべて使い切れる食材なのだ。
中3女子の棚から拝借して読み始めた本『全ての装備を知恵に置き換えること』(石川直樹著)に、このような記述があった。
「... 以前、私と息子が歩いていると、車に轢(ひ)かれた鳥を見つけたんだ。私はその亡骸(なきがら)を家に持ち帰り、皮をはぎ、さばいて料理し、食べた。そしてそのやり方を息子に教えたんだ。さらに、鳥の羽根からフライを作り、作り方も教えた。そのフライを持って川に行き、それで魚を釣って食べたんだよ。私の息子たちはその一連の過程を決して忘れることはないだろう」
これは、アウトドアブランド、パタゴニアの創設者であるイヴォン・シュイナードさんが、冒険家・石川直樹さんに語った言葉である。
全ての装備を知恵に置き換えること (集英社文庫)
石川直樹 著
この本を読む前に、ちょうど山うどを料理していた。鳥の料理方法と山うど、生き物と植物の違いはあるが、すべてを使い切る、捨てるところのなく、ムダなくいただくという共通点。あぁなるほど、生きるための知恵。
実際に体験している人の言葉は、説得力がちがう。読み聞いたことなど、“耳学問”的な知識ではなく、カラダが発する言葉だから。この本はまだ読み終えていないが、イヴォンさんの言葉を超える部分が、まだ出てきていない(ないかもしれない)。むしろ、イヴォンさんの言葉を紹介している冒頭の文章が、強烈に濃く、私に届いてしまったため、すでにこの「はじめに」的なところだけで満足してしまっているのかも。それくらい、ぐっときた。もしかすると、序章的な部分は文庫本のみかもしれないので、ご確認のうえ、ぜひご一読を。
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