2月12日。誕生日を迎えた。誕生日周辺になると、ふと思い立つように引っ張りだしてきては、毎年読む本がある。まるごと読むわけではないけど、とりわけ、これだけは必ず読んでいる。誕生日だから。
村上春樹編訳「バースデイ・ストーリーズ」の中に収められている、『バースデイ・ガール』という短編。20歳を迎える女の子がバイト先で過ごす時間。その時の出来事を、10年以上経ってから語り伝えるというもの。詳細は、ぜひ読んでいただきたい。とても不思議で、思慮深い内容。
私の20歳の誕生日といえば。たしか、叔母が北大病院外科病棟(いま思うと、あの部屋はつまり、ガンの方々)に入院していたので、そこへバスで行き、叔母のそれほど多くない身の回りの洗濯物を洗って干して(叔母は力を入れてはいけない状況だったため)、同じ病棟のご年配のみなさんと気の置けない日常のお話をして、下宿へ帰宅しただけだったと記憶している。そういう生活(つまり、ルーティンワーク)を1年半ほど続けていたから、日常の延長のようなものだったと記憶している。デートも、友だちとの食事もなし。そんなこんなで、よくわからないまま20歳を迎えた。
かといって、それを悔やんでいるわけではない。叔母のところへ毎日行って、他愛のない話をして、自分の日常を報告して、それをつまらないとも思わない。叔母にとっては、それが外部とのかかわりだと思うわけで、叔母だけではなく同室の女性たちにとっては、毎日顔をだす20歳の女の子が、日常の学校の様子を話す内容などは、それはそれで入院中の方々の役に立っていたのだと思うから。とてもつまらない話なのだけど。
あなたは20歳の誕生日に自分が何をしていたか、覚えていますか?
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