「お気をつけてくださいよ」。21時半の浜町駅改札、お見送りする側の高齢の男性が声をかけた。お見送りされた方も、同じような年齢だろうか。『奥さんにもよろしく伝えてくださいよ』と、改札の中へ吸い込まれていった男性が、別れ際に言葉を返していた。「あぁ、いちおう伝えておくよ」と、少し苦笑いしながら、手を振った。
自動改札からちょっと離れて、帰宅するであろう方向に歩きながら、また振り向いた見送る側の男性が、「じゃあ。ほんとに、お気をつけて」と念を押すように、ホームに向かった男性に同じ言葉を繰り返した。視線はしばし、改札内への男性へ。
年齢によって、こんなに解釈がちがう言葉ってあるのか、と改めて思う。年齢だけではない、経験の多さと濃さも、そう。たとえば小学生が「気をつけてねー!」というセリフと、70代ぐらいの方にとっても「気をつけて」。その重さや密度の違いは、計り知れない。何気なく発した言葉なのかもしれないが、私にはそう感じた。
昨日、北海道の父の誕生日だった。あまりにあわただしくて、電話ができなかった。今日の夜、電話をしたばかりだったので、駅でご年配の男性同士、お互いを気遣う「気をつけて」という言葉の密度に、なんだか胸が締めつけられた。
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