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『年がら年中 長嶋茂雄』編集秘話

4月2日(火)の読売新聞「編集手帳」。私が以前に企画・編集した日めくり型書籍『年がら年中 長嶋茂雄』に触れていた。担当してくれた編集さんから連絡をいただき、知りました。うれしいな。


書籍(箱です)

中に入っているのは、この2冊。365日分の言葉がぎっしり。




付録のてぬぐい。長嶋さん直筆の言葉とサインに、
デザイナー・池田進吾さんの絵。


長嶋さんの言葉は、読めば読むほどに、じんわりしてくる。そして、どんな方にもささる言葉がたくさんある。多様な解釈もできるし、落ち込んでいるとき、幸せなとき、どんな職業の方にも届く。そして、なによりもチャーミング! だから、書籍だけとしてではなく、いつでも毎年読める日めくりカレンダーとして提案したのでした。しかも、てぬぐい付き。

ほぼ一ヶ月、ベースボール・マガジン社へ通い、週刊ベースボール創刊号から最新号までページをめくって、長嶋さんのコメントをちびちびと調べ続ける毎日。となりのデスクの方々は、季刊のプロ野球本を担当している部署。夏なので、甲子園の大会をずーっとテレビでつけっぱなしになっている。「そういえば立浪がさあ」などと、堂々と野球を見ながら、ゴシップも含めた野球トークのできる会社なんだ、いいなあとしみじみ思いながら、コツコツと長嶋さんの言葉をピックアップし続けた。

一ヶ月強、そんな作業をしているのが、まったく苦にならなかった。もっとやってもよかったかも。それくらい、楽しかった。おとなりの皆さんのトークが楽しいこともあったし、何より長嶋さんの言葉を調べれば調べるほど、日本中から愛されていることがわかってくる。うんうん!とうなずきながらメモリ、コピーし、そして長嶋さんが発する言葉の魅力に酔い続ける毎日だった。だから、キラキラとすてきな長嶋語の山から366日分にセレクトするのが、とても心苦しかったな。

デザインは、古くからの知り合い、ロクナナの池田進吾さん。野球好き(阪神ファンなのです)の池田くん、長嶋さんの世界観も存分に理解しているので、正解でした。ポジ選びも、古くお宝並みのものがたくさんあったので、セレクトも苦心したようです。池田くんならではのこだわりも随所にあり、見直すとついくすくす笑ってしまうようなページがたくさん。

書籍ができあがるって、たくさんの方々とのコラボレーション。いま思い返すと、編集担当してくれた方、デザイナーさん、紙の印刷・手ぬぐいの印刷の方、販売を担当されている方々など、本当にたくさんの方々がいたからこそ仕上がった一冊でした。

そして何より、この企画に対して長嶋さんの「いいんじゃない?」のひとことがなければ、世に出なかったわけですからね。

国民栄誉賞、おめでとうございます。


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